美術鑑賞手帳

主に美術館巡りの記録。たまに雑記。メインはインスタ@dillettante.7

ルート・ブリュック展

東京ステーションギャラリーのルート・ブリュック展に行ってきた。

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「お腹の中に蝶々がいる。」と、フランスでは、恋に落ちたようなときめきを表現するらしい。

初めて聞いた時は、随分不思議な感覚だと思ったけど、今なら少し分かるような気がする。

展示室を出てからしばらく経つのに、お腹の中で未だに、小さな蝶が羽ばたいている気がしてならない。

 

ルート・ブリュックはフィンランドを代表するセラミック・アーティスト。

素敵な作品ばかりだったけど、特に心に残ったのは蝶をモチーフにしたもの。

彼女のお父さんは蝶の研究者だったそうなので、そういう背景もあって、蝶は重要なモチーフだったらしい。

 

今回の展示のタイトルも「蝶の軌跡」。

確かに、ブリュックの制作スタイルは具象的なものから抽象的なものへと、生涯に渡って大きな変化を遂げる。

くるくると変化するその作風を辿るのは、蝶が自由に飛んでいくのを、展示室の中、ただ無心に追いかけていくようで楽しかった。

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ところで実際の蝶の軌跡は蝶道というらしい。

ある種の蝶は太陽光の僅かな移ろいを捉えて、飛ぶのだそうだ。

そういう話を聞くと、晩年、光の表現を追究したブリュックの姿が、光と影の間を縫って飛ぶ蝶に、重なって見えるような気もする。

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