バレル・コレクション展
Bunkamuraザ・ミュージアムのバレルコレクション展に行ってきた。
美術館に行くばかりだとつい、作品は鑑賞するもの、というところで思考が止まってしまうけど、コレクション展をみると、そもそも作品は売り物なのだという、当たり前の事実に気づかされる。
コレクターという存在は、美術史の上で語られることは多くないけど、こういう人がいたからこそ、今見れる沢山の素晴らしい作品があるのだ。
だから、どうしてこの絵を選んだのか、所々、バレルさんの意見を聞いてみたい気もしたのだが、今回の展示ではあまりそこが掘り下げられていなかったのが、少し残念だった。
そう思うと、敢えて蒐集順に並べて、コレクター自身の言葉を添えていたフィリップスコレクション展は、やはり面白い見せ方だったと思う。
来週からまた、松方コレクション展が始まるけど、こちらはかなり劇的な来歴があるだけに、どういう展示になるか、今から楽しみ。
そんなことを言いつつ、印象に残った絵をあげるとすれば、やはり、アンリ・ル・シダネル。
個人的には、ふと見かける度につい、一作一作、見入ってしまう画家。
今回は2作品あって、雪の絵と、夜の船着場の絵だった。
この人の絵はとても不思議な色彩で、実際にみると、絵の表面がきらきらと光って揺らめいているような感じがする。特に雪の絵はすごい色だった。
風景画は現実の世界を、画家のフィルターを借りて眺めているような感じがして、それが本当の景色にも劣らず美しいとき、新鮮な驚きがある。
ただ、画像だとうまくこの色合いが伝わらないので、あえて載せず…本物の色はぜひ展示室で。