美術鑑賞手帳

主に美術館巡りの記録。たまに雑記。メインはインスタ@dillettante.7

2019-01-01から1年間の記事一覧

三国志展

東京国立博物館の三国志展に行ってきた。 扇からビームを放つ諸葛孔明。 それが私と三国志の出会いだった。 小学生の頃、お兄ちゃんがプレステの三國無双をやっていて、このゲームで孔明は、扇を使って戦うんだよね。 そんな風にゲームから入って、小説を読…

メスキータ展

東京ステーションギャラリーのメスキータ展に行ってきた。 最近よく、『ほろびぬ美』という川端康成の短編を思い出す。 民族が興亡しても、その美は滅びないと説くこの文章は、敗戦後も途絶えることのなかった日本の美の系譜について語ったものだ。 けれど個…

みんなのミュシャ展

Bunkamuraザ・ミュージアムのみんなのミュシャ展に行ってきた。 美術館にいるとき、何を考えているだろう。 例えば、普段は忘れてしまっているようなこと。 美術館にいると、いつもは記憶の底に沈んでいる想い出が次々と蘇る。 今回、ただのミュシャ展ではな…

顔真卿展

東京国立博物館の顔真卿 王羲之を超えた名筆 に行ってきた。 夜間開館、閉館一時間前になっても、顔真卿《祭姪文稿》だけは60分待ち。 沢山の書があって、驚くほど端正で美しいものばかりなのに、 その中でも選りすぐりの名筆と言われるのは、 この、悲しみ…

東山魁夷展

絵を観て泣いたことはあまりないのだけど… 去年、東山魁夷の絶筆《夕星》をみて、何だか泣きそうになって、それは流石にまずいと、慌てて暗い障壁画の部屋へ移動したことがあったのだけど、何でそんな風に思ったのか、漸く腑に落ちた気がしたので、少しだけ……

葛飾北斎展

森アーツセンターギャラリーの新・北斎展に行ってきた。 今回は、北斎研究の第一人者である永田生慈さんが最期に監修された展示ということで(残念ながら、永田さんはこの展覧会を見ることなく、昨年お亡くなりになったそう…)70年に及ぶ画業全体を見渡せる…

岡上淑子展

庭園美術館の岡上淑子 沈黙の奇蹟に行ってきた。 祝日明けの火曜日。 顔真卿、奇想の系譜、小原古邨にふられて、久しぶりの庭園美術館に。 確かクリスチャン・ボルタンスキー以来かな。 ボルタンスキーの時は、館のどこからか囁き声が聞こえてきたり、録り溜…

ソフィ・カル 限局性激痛

原美術館 「ソフィ カル 限局性激痛 」に行ってきた。 原美術館というと、この前行ったのは、ポリフィローの夢だから2014年か。 確か、前の前の彼氏と付き合っていた頃で、でもすぐ別れたんだった。だからこの美術館は、何となく失恋の予感のする場所。この…

マリアノ・フォルチュニ展

三菱一号館美術館のマリアノ・フォルチュ二展に行ってきた。 これまで200以上の展覧会に足を運んで気づいたことだけど、意外なことに知ってる作家よりも、え、誰それ?みたいな人の展示の方が、楽しかったりする。 あまり知名度の高くない展覧会だと思うけど…

バレル・コレクション展

Bunkamuraザ・ミュージアムのバレルコレクション展に行ってきた。 美術館に行くばかりだとつい、作品は鑑賞するもの、というところで思考が止まってしまうけど、コレクション展をみると、そもそも作品は売り物なのだという、当たり前の事実に気づかされる。 …

ルート・ブリュック展

東京ステーションギャラリーのルート・ブリュック展に行ってきた。 「お腹の中に蝶々がいる。」と、フランスでは、恋に落ちたようなときめきを表現するらしい。 初めて聞いた時は、随分不思議な感覚だと思ったけど、今なら少し分かるような気がする。 展示室…

ギュスターヴ・モロー展

パナソニック汐留美術館のギュスターヴ・モロー展に行ってきた。 キャプションでは度々、作品を宝石に例えていたけれど、本当にそう思う。 モローの作品を鑑賞する愉しさは、職人が技術の粋を尽くした、宝石細工を見る時に似ている。 実際、モローは「夢を集…

キスリング展

東京都庭園美術館のキスリング展に行ってきた。 今回は12年ぶりの日本での回顧展だそう。 それでもって、じゃあその前は?と調べてみると、これまた更に15年前だったりして… キスリングの展覧会は、日本じゃ珍しいんだなぁ。個人的には好きな画家なのだけど…

クリムト《接吻》をみて

クリムト展に行ったので、昨年の秋、ウィーンに《接吻》を観に行った時のことを振り返ってみる。 念願のクリムト! いくら画集をみても分からなかった質感がついに目の前に。想像していたよりもずっと厳かな煌めきだった。 この絵を初めて観たとき、幼心にど…

クリムト展 ウィーンと日本1900

東京都美術館 クリムト展に行ってきた。 今回は音声ガイドがおすすめ。 《女の三世代》の前で、マーラーのアダージェットが流れたのがすごく良かった。 人生の三世代は多くの画家が取り上げたテーマだけど、女性を描いたものは珍しいそうだ。 「自分には関心…

ウィーン・モダン展

国立新美術館 ウィーン・モダン展に行ってきた。 今回のメインビジュアル、《エミーリエ・フレーゲの肖像》は、青紫の地に金の装飾が揺らめく肖像画。 個人的にこの色合いにはなんとなく、クリムト自身を連想してしまう。 展示ではエミーリエの視線の先辺り…

速水御舟展

紫陽花が咲いているうちにと、山種美術館の速水御舟展に行ってきた。 速水御舟のどこが好きかといえば、まずはその名前から…というぐらいには、この画家が好きだ。 速水御舟は生涯に渡って、自分の絵に型ができることを恐れ、常に新しい挑戦を続けた。 その…

クリスチャン・ボルタンスキー展

国立新美術館のクリスチャン・ボルタンスキー展に行ってきた。 魂の重さは21グラムとか、死は青い光を放つ、とか… 死を研究した科学者は沢山いるけれど、果たして普通に生きていて、それについて深く考えるだろうか。 子どもの写真が多いからか、あるいは工…

ジョゼフ・コーネル展 コラージュ・モンタージュ

千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館のジョゼフ・コーネル展に行ってきた。 東京駅からの直通バスを使うと、行きも帰りも一本だけなので、半ば強制的に、自然の中でゆっくりすることになる。 いつも時間の隙間を縫うようにして美術館に行くので、こんな風に…

松方コレクション展

上野 国立西洋美術館の松方コレクション展に行ってきた。 日本語で「かなしみ」は、美に通じる言葉だと、言っていたのは、誰だったろう。 今まで色々な睡蓮を見たけれど、こんなに悲しくて美しい、モネの睡蓮は初めて見た。 日本の人々のために、美術館をつ…