ソフィ・カル 限局性激痛
原美術館 「ソフィ カル 限局性激痛 」に行ってきた。
原美術館というと、この前行ったのは、ポリフィローの夢だから2014年か。
確か、前の前の彼氏と付き合っていた頃で、でもすぐ別れたんだった。だからこの美術館は、何となく失恋の予感のする場所。この展示に個人的にはぴったりね。
展示を見て、まず思ったこととしては、「マジ、そんなクズ野郎、別れて正解じゃね?」という感じ(言葉が汚い。すみません)。でも思わず乱れるわというぐらい、非道い人だ。一方的な見方しかしてないけど…でも付き合ってる時に「君のこと物凄く好きな訳じゃないから安心しない方がいいよ」とか言うかい…
この展示の秀逸なところは、失恋までのカウントダウン(これも言葉にすると何だかロマンチックで良い)というより、第2部の、自分の失恋体験を色々な人の一番辛かった話と交換することで、心の傷が癒される過程を見ていくことだと思う。
悲しみは時と共に薄らいでいくとはよく言うけれど、その絶対に目には見えない感覚を、視覚的には辿っていくのは新鮮な体験だった。
カルと同じような失恋体験に始まり、強弱をつけて、様々な人の最も辛かった出来事が、淡々と並んでいく。
それをどんな人が話したのか分からないけれど、でも皆、彼女の身近にいて、きっとなんてことない顔をして日々を過ごしていたのだ。
どんなに深い悲しみも、目には見えない。けれどカルのように、痛烈な痛み(限局性激痛)を経験しながら、その記憶と共に今を生きている人は、とても美しいと思った。