岡上淑子展
祝日明けの火曜日。
顔真卿、奇想の系譜、小原古邨にふられて、久しぶりの庭園美術館に。
確かクリスチャン・ボルタンスキー以来かな。
ボルタンスキーの時は、館のどこからか囁き声が聞こえてきたり、録り溜めた人の心音が鳴っていたりと、結構、幽霊屋敷的雰囲気で、それはそれで面白かったんだけど、今回も旧朝香宮邸という立地がよく生かされた展示だった。
岡上さんの作品とアール・デコ調の邸宅の雰囲気が合っていて、作品と現実の空間の境界線が曖昧になるよう。
その上時々、ディオールやバレンシアガのドレスが部屋にひっそりと佇んでいて、オートクチュールのドレスを着た首の無いマネキンたちは、そのまま作品から抜け出してきたみたいだった。
展示では、本館を劇でいうマチネ、新館をソワレに例えていたけれど、個人的に本館の方は、まるで美しい魔物が集う、奇妙な舞踏会にこっそり紛れ込んでいるようで楽しかった。
この雰囲気は、普通の美術館では中々出せないだろうな。余韻に引き摺られて、思わず図録を買ってしまった。