ウィーン・モダン展
国立新美術館 ウィーン・モダン展に行ってきた。
今回のメインビジュアル、《エミーリエ・フレーゲの肖像》は、青紫の地に金の装飾が揺らめく肖像画。
個人的にこの色合いにはなんとなく、クリムト自身を連想してしまう。
展示ではエミーリエの視線の先辺りに、クリムトの青いスモックが展示されていたのだけど、
それを着たクリムトが彼女の隣に立てば、ちょうど《接吻》の2人みたいに、一揃いに見えるかしら、とか…
彼らの不思議な関係性を考えると、つい、色々な想像を巡らせたくなる。
クリムトの最期の言葉は「エミーリエを呼んでくれ」だったと言われている。
そのエピソードからも分かるように、生涯結婚こそしなかったものの、深い仲にあったと言われる2人。
エミーリエは、クリムトの死後、2人のやりとりの手紙をほとんど廃棄してしまったので、その詳しい関係については未だに謎も多い。
けれどそもそも、廃棄という手段に、他者の介入を拒むような壁を感じる気もして…
だから2人がお互いに抱いていた感情については、なるべく余計な憶測は控えて、ただ作品の美しさの中にだけ、その答えを探すべきなのかもしれない、とも思う。
因みに、音声ガイドではこの絵の前でマーラーのアダージェットが流れる。
実はこの曲は、奥さんへのラブレターとして作曲されたものらしい。クリムトの《エミーリエ・フレーゲの肖像》の前で流れるにはぴったりの曲だと思った。